相変わらず厳しい仮想通貨市場ですが、ビットコインの落ち込んでいたハッシュレートが徐々に回復しており、ビットコインのマイナーが改めてマイニングパワーを投入し出しています。
ビットコインのハッシュレート推移 / 画像引用:BLOCKCHAIN.Info (19年2/9時点)
また、以前までビットコインのマイニングシェアの40%以上を占めていたビットメインが、香港証券市場へのIPO失敗やビットコインキャッシュの分裂問題で大きな損失を被った事もあり、現在では合計約28.50%(BTC.com:17.9% + AntPool:10.6%)まで全体におけるハッシュレートの割合を下げています。
ビットコインのハッシュレート分布 / 画像引用:BLOCKCHAIN.Info (19年2/9時点)
ビットメインの割合が下がった事により、身元が明らかでないUnknownのマイナー比率(21.5%)があがっており、以前よりもマイニング企業の中央集権化が弱まっています。
またビットコインの1日あたりの取引量も、バブル崩壊によって急落した2018年3月から毎月徐々に増えてきています。
また、仮想通貨のランキングで有名なアメリカのWeiss Raitings社は、前回のランキング発表でビットコインの「普及」という点で全仮想通貨中最高点を付けました。
※ビットコイン全体の評価はC+という評価で、XRP(B)やEOS(B-)よりも低い評価です。
Weiss Raitings社がなぜ「普及」という点でビットコインに最高点を付けたのかは、以下の理由です。
🔹理由1.セキュリティが非常に高い事
1年前の2,500万Th/sと比べると、現在約5,000万Th/sのハッシュパワーになっており、ほぼ倍増しています。ハッシュパワーはマイナーがPCの計算力をどれだけビットコインのマイニングに投入しているかの数字なので、この数字がそのままセキュリティの高さになります。
このハッシュレートの数値は、全仮想通貨の中で圧倒的に一番高いです。
もしハッカーが51%以上のマイニングパワーを確保し、ビットコインのブロックチェーンを攻撃しようとする場合、1時間あたり約3,000万円ほどのコストがかかると言われています。もしマイニング設備を一から揃えようとすると、51%のシェアを取る為には数千億円規模の費用がかかってきます。
ここまで費用をかけてハッキングするくらいなら、正当なマイナーとしてマイニングに参加したほうが割りにあうという事、またハッキングが成功したとしてもそのハッキングのせいでビットコインの信用が失墜し、せっかくハッキングしたビットコインが無価値になるというリスクもありますので、ビットコインへのハッキングは現状不可能に限りなく近い状態を保っています。
🔹理由2.アクティブユーザーのアドレス数が安定している事
ブロックチェーンのネットワークで毎日動いているアクティブユーザーのアドレスが、2018年の4月から50万アドレス以上で推移しています。1年以上続く厳しい市況にも関わらず、アクティブユーザーのアドレス数が安定している事は、今後に向けてのポジティブな兆候です。
🔹理由3.トランザクション数が倍増している事
2017年の仮想通貨バブルのピークから、一時ビットコインの日々のトランザクションは大幅に減少しましたが、その後2018年3月頃の約180,000/txから2019年2月現在の約340,000/txまで、徐々に日々のトランザクション数は増えてきています。
理由2と同様に、この厳しいマーケットにも関わらず、日々のトランザクション量が増えてきている事は、ビットコインの普及を見るうえでポジティブな指標になります。
ビットコインの1日のトランザクション数 / 画像引用:BLOCKCHAIN.Info (19年2/9時点)
🔹理由4.平均送金手数料が下がっている事
2017年のピーク時は一回の送金が数千円まで高騰していましたが、現在は1回当たりのトランザクションフィーは数十円程度まで下がっています。送金手数の割安感が、ビットコインの更なる普及並びに決済としての採用を後押ししています。
※ただし、市場が再度活発になりビットコインの取引量が2017年末頃に近づいてきた場合、ライトニングネットワークを使わないと送金手数料は再度高騰するとみられています
🔹理由5.ライトニングネットワークが順調に広がっている事
ライトニングネットワークは、ビットコインがかかえる送金スピードの遅さやスケーラビィティの問題を解決するセカンドレイヤー(オフチェーン)の技術です。
2018年にスタートした時はライトニングネットワークを構築するノードは0でしたが、2019年2月現在は約2,600まで拡大しました。
ベアマーケットの中でも、ノード数が増え続け、スピーディーな送金と安価な手数料を安定的に実現する事が出来れば、ビットコインの普及は更に加速する事が見込まれます。
ライトニングネットワークには、取引を経由するノードが手数料を決められたり、ノードを立てる経費が別途発生したり、色々と反対意見が絶えない試みでもあり、今現在誰でも簡単にライトニングネットワークを使えるわけではありません。
ただ、上記であげた圧倒的なハッシュパワー(セキュリティ)、アクティブユーザーのアドレス数、日々のトランザクションが増加している事に加え、送金手数料が下落している事は間違いなくプラス要因です。
そして、第三者の介在を極力排除したパブリックチェーンであること、仮想通貨の中ではビットコインの知名度が間違いなく一番であるという事も理由としてあげらます。
これらの理由から、個人的にも今後最も普及する仮想通貨の最有力候補は、やはりビットコインが濃厚だと考えています。