明けましておめでとうございます!
2019年一発目の記事は、ベネズエラでのDashについての記事です。
経済危機によるハイパーインフレ(超高率の物価上昇)に直面しているベネズエラ。
なんと、年間インフレ率は200,000%にまで達していると言われており、ベネズエラの通貨であるボリバルは紙くず同然の価値になってしまっています。
そんなベネズエラでは、保有している石油の価値を裏付けとして、国営仮想通貨としてPetro(ペトロ)を発行し、崩壊した経済を立て直そうと試みています。
しかしながら、ペトロの価値の裏付けとされた石油が本当に存在するのか疑惑がもたれており、未だにどこの仮想通貨取引所にも上場出来ておらず、法定通貨はもとより他の仮想通貨とのトレードさえできない状況が続いています。
このような状況の中、主要アルトコインの一つであるDashは、ペトロとは対照的にベネズエラ国内での存在感を大きくしていっています。
Dashの決済に特化したスマホ(KRIP Phone)をリリースしたKRIP社との提携や、ベネズエラ国内でのDash採用例など、Dashの躍進についてみていこうと思います。
Dashについては以前記事にしていますので、ご参考まで。
✅匿名通貨 Dash・プライベートセンドと高速送金
Kripto Mobile Corporationとの提携
Dash Core(Dashの開発・運営を手掛けるチーム)は、暗号通貨専用スマホを製造するKripto Mobile Corporationと昨年8月に提携を発表しました。
Kripto Mobile社が製造しているKRIP Phoneというスマホには、最初からDashのソフトウェアやウォレットがインストールされていおり、Dash決済に特化したスマホになっています。
既にこのKRIP Phoneは66,000台以上を出荷しており、そのうちの53,000台がベネズエラ向けになっており、今回の提携がベネズエラ市場攻略に向けたものだという事が分かります。
スマホ本体の価格も100USD(11,000円)以下と、経済的に裕福でないベネズエラの台所事情を考慮した価格設定になっています。実際にAmazonのサイトで調べてみましたが、16GB仕様で60~70USDと非常に安価な価格で販売されていました。
*出典:Amazon.com
これAmazon Japanではなく、Amazonの海外サイトなんですが、6USD程度支払えば日本宛てに発送してくれるみたいですw
SMSで送金できるDash Textがベネズエラでリリース
Dash Textとは、簡単に言うとインターネット回線が無くても、Dashの送金・受領ができるサービスです。
SMSは「ショートメールサービス」の略で、これはネット回線ではなく、電話回線を使ってショートメッセージをやり取りするシステムの為、最悪スマホがなくても、ガラケーがあれば利用可能です。
ちょっと古いデータですが、2016年時点でベネズエラのスマートフォン普及率は約40%、そしてインターネット普及率は約60%となっており、Dash Textに需要が見込めると踏んで、まずはベネズエラでリリースする事になりました。
実際にDash Textの使い方を説明したチュートリアル動画がありました。
※英語ですが、感覚的に動画を見るだけても理解できると思います。
✅Dash Textの使い方・動画
※出典:YouTube
動画ではまずスマホにDash Text Walletをつくり、Dash Textで可能な下記サービスの扱い方を説明しています。特定のコマンドを自分のスマホに対して打ち込んでいく形です。
1)Dash Textを使ってスマホ間でDashの送金・受領が可能
2)Dash TextからDashウォレット、DashウォレットからDash Text(スマホ)へ転送・送金が可能
3)Dash Text内(スマホ)にあるDash残高が確認できる
Dashの利点でもある高速トランザクションにより、サクサク決済できてます。
これらのマイクロペイメントが可能なのも、デビットカードやクレジットカードに比べ格安の手数料で決済できるからで、全ての取引がブロックチェーンに記録されています。
KRIP PhoneとDash Textの2つがあれば、ベネズエラではDash決済に困る事はなさそうです。
ベネズエラでDashを採用している店舗
この1年の間に、ベネズエラでは飲食店を中心に、多くの店舗でDashが決済通貨として採用されてきました。
Dash公式ホームページによると、現在ベネズエラでDash決済が可能な店舗は2019年1月1日時点で、2,553店舗となっており、その他の国のDash採用店舗数を圧倒しています。
▪国別Dash採用店舗数 (2019年 1月1日時点)
1)ベネズエラ:2,553店舗
2)アメリカ:531店舗
3)コロンビア:346店舗
4)ドイツ:153店舗
5)カナダ:141店舗
6)オーストラリア:107店舗
7)オーストリア:102店舗
8)イギリス:67店舗
✅Dash採用店舗が分かるURL(出典:Dash公式HP)
有名どころでいうと、サンドイッチ等のファーストフードを提供するSubwayや、フライドチキン専門店のChurch’s ChickenがDashを採用しています。
*Dash利用可能の看板を出しているChurch’s Chicken
その他にもタクシーの支払いや、旅行会社への代金支払い、衣服の購入等でも採用されており、確実にベネズエラの社会に根付きつつあることが分かります。
まとめ
一ダッシュホルダーとして少しポジトーク入ってしまいますが、着々と採用が進んでおり、ベネズエラで既に地位を確立している事は、今後に期待が持てる事です。
Dashはマスターノード(世界に約5,000)の存在から中央集権的と揶揄される事がありますが、マスターノードがあるからこその高速トランザクション&格安の手数料、オープンな取引と匿名取引を選択できる利便性、マイニング収益の10%を運営にバックする事による自己完結型の収益システム、ASIC対策がされたマイニングアルゴリズム:X11の採用等、あげればまだあるんですが、多くの魅力的な特徴をもったメジャーアルトコインの一つだと思います。
自分がXRPを買わず、Dashを支持する理由でもあります。
Dash TextとKRIP Phoneのようなアプリケーションは、ベネズエラだけでなく、その他のハイパーインフレに直面している国々でも今後広がっていくのではないかと期待しています。
自国の何万%というインフレ率に比べれば、この最悪な仮想通貨相場にあっても、Dashの下落率のほうが全然低いですからね。
Dashは良く匿名機能をウリにしたちょっと危険な匂いがするコイン、というイメージをよく持たれますが、オープンな取引である「インスタントセンド」と匿名送金の「プライベートセンド」は、ユーザーが選ぶ事ができるんです。
匿名通貨で有名なZcash、MoneroにもDash同様の機能があり、匿名機能がある仮想通貨をなんでもかんでも一様に危険視する傾向がある日本政府の対応には、疑問を抱きます。
日本国内での普及には色々とハードルがありますが、2019年もベネズエラをはじめとしたグローバルな発展をDashには期待しています!