モナコイン(MonaCoin)の存在は2017年末に仮想通貨を始めた時から知っていましたが、2chが発祥という事もあり、ただのおふざけコインだと思ってました。
今回調べてみて感じた事は、PoWを採用している事や、投げ銭機能、モナコインで買い物ができるネットショップなど、コミュニティがあってちゃんと活動しているんだなぁと驚きました。
2014年1月にリリースされた比較的古い仮想通貨で、今までロクに調べもせず買った用途不明の仮想通貨より、よっぽどモナコインのほうが仮想通貨としてのあるべき姿を実現していました。
そんな日本発仮想通貨の基本情報や実際に使われている例、特徴等をみていきたいと思います。
モナコインの基本情報
まずはビットコインとの比較から。
モナコインは日本発の仮想通貨で、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)で有名なアスキーアートキャラクターである「モナー」がモチーフとなっています。
※アスキーアートとは記号や英数字などの文字を組み合わせて作成した絵です。
公式HPに載っている通り、ユーザー主導による様々なサービスの開発や、神社の建立、投げ銭など他とは違った特徴を持っており、コミュニティ主体で発展していっています。
このコインは、2ちゃんねるで有名なWatanabe氏によって開発されました(詳細な素性は不明)
Watanabe氏はもともとライトコインのマイニングプールを運営していたこともあり、モナコインはライトコインの仕様がベースになっています。
モナコインは、中央管理者不在の分散型のP2P決済通貨です。
ビットコインやライトコイン同様、コンセンサスアルゴリズムにProof of Work(PoW)を採用していますが、マイニングアルゴリズムにはLyra2RE(v2)という仕組みを採用しています。
Lyra2RE(v2)とは簡単に言うと、ASIC耐性を持ったマイニングアルゴリズムで、大資本のマイナーによるASIC専用機器を使ったマイニング独占を防ぐ為の仕組みです。
「P2P」や「PoW」や「分散管理型」については、以前記事で紹介しているので、詳細は下記をご覧ください。
1回当たりの送金にかかる時間(ブロック生成時間)は約1.5分と、ビットコイン(10分)やライトコイン(2.5分)よりも短い時間で決済する事ができます。
1ブロックあたりのマイニング報酬は25MONA(2018年11月時点)で、1,051,000ブロック毎に半減期を迎えます。次回の半減期(25MONA→12.5MONA)は2020年7月頃に迎える予定です。
取引所はBitbank、Bittrex、UpBit等に上場しています。
Bitbankは日本の取引所なので、ここで日本円でモナコインを購入する事が出来ます。
尚、2018年11月現在、金融庁に認可されている数少ない仮想通貨の一つです。
全体のハッシュレート(マイニングに参加しているPCの総計算能力)はビットコインの足元にも及びませんが、その他数千の良く分からない仮想通貨よりよっぽどマトモな機能を備えてます。
モナコインを使っての投げ銭機能・ショッピング
Tipmona/Twitter
モナコインの面白い特徴の一つに「tipmona」という投げ銭サービスがあります。
読んで字の如く、Twitterのタイムライン上で投げ銭=チップや寄付という名目で気軽にコインを送る事が出来ます。
この機能を使うには、Twiterのアカウントさえ持っていればOKです。
使い方は簡単で、送金や受信の仲介、残高管理をしてくれる「モナコインちゃんbot」経由でやり取りを行います。
詳細の使い方はこちらのブログが分かりやすかったので、興味がある方は見てみてください。
Monnapy (モナッピー)
またMonappyというモナコインで投げ銭や買い物ができるネットショッピングサイトも有名です。
※2018年9月に発生したハッキング攻撃により、現在Monappyは使用できない状況です。
このサイトでは、日本円の代わりにモナコインが通貨の機能を果たしており、メールアドレスの登録だけで利用可能です。また、Monappy登録者間のモナコインのやり取りは手数料無料です。
サイトの役割はウォレット機能(モナコインの口座のようなもの)だけでなく、自分で描いたイラストや漫画、動画等を出品し、ユーザーが投げ銭をして評価や寄付をしたり、購入したりする事が出来ます。
仮想通貨が実需で使われていた良い例ですし、モナコインのコミュニティ主体で発展していったサイトでもあるので、是非また復旧してもらいたいものです。
Bitcoinmall (ビットコインモール)
モナコインが使えるオンラインショップでは、ビットコインモールというサイトもあります。ここではモナコイン以外にもビットコインも決済通貨として使用する事が出来ます。
まだまだ楽天やAmazonには程遠いですが、商品登録数10万点以上の品揃えです。

上記のように通貨はビットコインとモナコイン建てで表示されています。
ビットコインモールHP
Monazon(モナゾン)
アマゾンをもじったモナコイン情報サイトですw
このサイトでは日本全国のモナコインが使えるお店を調べる事が出来ます。
やはりモナコインが使えるお店は東京に集中しており、日本っぽいメイド喫茶やオタク系グッズが多いですが、合計30店舗以上あり、ここまでモナコインが使えるお店があるのは驚きました。
Monazon HP

長野県に存在するモナ神社(モメ神社)
モナ神社は2015年に、小泉瑞貴氏がモナオク!に出品されていた長野県の土地を入札し、有志と共に設立した神社です。
信じられない事に、その落札当時は激しい入札合戦が繰り広げられていたようで、最終的に3万MONA以上の値段で落札されたようですw
その落札された土地に、有志によって祭壇や祠などが設置され、モナ神社が建てられました。
神社の管理や維持についても、有志達によって行われているようです。
モナ神社にきました!
# Monacoin pic.twitter.com/XPQJPQsDPf— 祥! (@nahcoys) May 12, 2018
なぜか表札はモナ神社ではなく、モメ神社になっています。
おせじにも立派とは言えない外見ですが、2ちゃんるパワー流石としか言えませんw
初めてSegwitを実装した仮想通貨
2017年に入ってからビットコインの取引量が大幅に増えた事により、1ブロックあたりの容量:1MBではスムーズにデータを捌く事ができなくなってしまい、結果決済にかかる時間が長くなり、また手数料の増大を引き起こしていました。
モナコインの1ブロックの容量は約0.5MBの為、ビットコイン同様の問題を抱えていました。
そこで、この送金詰まりと手数料高騰の対策として導入されたのがSegWitでした。
※SegWit = Segregated Witnessとは日本語では「署名の分離」という意味です。
SegWitはビットコインに導入されている事で有名ですが、ビットコインが2017年8月導入に対して、モナコインはそれより先の2017年4月にSegWitを導入しており、仮想通貨では1番最初にSegWitを導入した通貨になります。
このSegWitとは簡単に言うと、通常ブロックの中には「取引データ」と「署名データ」が入っているのですが、この中の「署名データ」をWitness領域という場所に分離し、1ブロック当たりに入る「取引データ」量を増やすという手法です。

上図のように取引データをWitness領域へ分離する事で、SegWit実装前に比べ、1回当たりの処理件数は約1.7倍ほどに拡大する事が出来るようになりました。
ただ、ビットコインの現実を見れば分かる通り、このSegWitだけでは根本的な送金遅延・手数料増加の問題解決には至っておらず、SegWit実装通貨だけが導入できると言われているライトニングネットワーク(LN)というスケーリング技術に期待が寄せられています。
個人的にライトニングネットワーク(LN)には否定的な考えなんですが、ビットコインより先にモナコインがLN実装しちゃったりしたら面白いかもしれないですねw
過去LNについての記事を書いてますので、気になる方はご覧ください。
異なる通貨同士の交換が可能なアトミックスワップ
アトミックスワップとは異なる仮想通貨を、取引所等の第三者を経由せずに、2者間で直接そして安全に取引できる機能です。例えば、Aさんのビットコイン0.1枚とBさんのモナコイン1,000枚の交換です。
ここで誰しも心配になるのが、AさんがBさんへ0.1BTC後に、Bさんが1,000枚のモナコインを支払わずにビットコインを持ち逃げしてしまうリスクです。
めちゃくちゃ簡単に言うと、マルチシグアドレスという機能を利用して取引を行う事により、持ち逃げを防止しています。

1)Aさんが0.1BTCをマルチシグアドレスCへ送信
0.1BTCがロックされる
2)Bさんが1,000MONAをマルチシグアドレスDへ送信
1,000MONAがロックされる
3)両者の着金が確認でき次第、AとBへマルチシグアドレスC、Dを開ける鍵が同時配信される
*制限時間以内に着金しない場合は、その取引自体が無効になり、預けていたコインが返却される
4)両者が配信された鍵を使って、各々のマルチシグアドレスからコインを受領する
技術的な細かい点ではこんなに単純ではないのですが、概ね上記のようなイメージです。
このアトミックスワップによって何が実現するかというと、第三者(取引所)を通さずに異なる通貨を交換できる点で、取引所を通さない事によるセキュリティの向上や手間の削減が挙げられます。
デメリットは異なるブロックチェーン同士の取引の為、通常取引よりも多くの承認数が必要になり決済時間に時間がかかる事や、マイナーへ支払う送金手数料が高くなる事です。
また、現時点でアトミックスワップ対応通貨は、ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、モナコイン等その数10種類にも満たないので、対応できる通貨が限られています。
まとめ
2ちゃんねる発という事で色眼鏡で見てましたが、調べてみたらSegwitやアトミックスワップの機能が搭載された正統派PoWコインという事が分かり、いい意味での認識を覆す発見でした。
用途が良く分からない通貨が大多数を占める中、有志による神社の建立や、Twitterでの投げ銭機能、モナコインが使えるネットショップ等、実際にモナコインが使われている事例があるのは他の仮想通貨をリードしている点です。
また日本の市場限定ですが、金融庁のホワイトリスト(認定仮想通貨)に入っている事は非常に大きなアドバンテージであり、今後市場が回復してくれば、更にモナコインの採用が広がってくるのではないでしょうか。
モナコインは日本発の数少ない仮想通貨の一つなので、私も微力ながらコミュニティの活動に貢献させて頂こうと考えていますw